InsightNISAの最適化技術|自動の節枠取引

SUSTEN独自のNISA最適化技術

SUSTENの自動NISAには、2025年現在5つのNISA自動最適化技術が搭載されています。お客さまは何も操作することなく、システムによるNISA利用の最適化サポートを受けられます。

5つの最適化技術の中で特にユニークなのが「節枠取引」です。この技術は、sustenキャピタル・マネジメントが業界でいち早く提唱したもので、NISAの生涯保有上限額を実質的に拡大できる効果が期待されます。

このインサイトでは、節枠取引の考え方と動作のポイントについて解説します。

背景

非課税で投資できる経済的価値は無視できません。グローバル分散投資の期待リターンを年率7〜8%とすると、リターンの約20%にかかる税金が免除されるため、非課税投資は課税口座と比較して年率最大1.5%程度のリターン上乗せとほぼ同じ効果があります。

一方で、リスクなしでこの年率1.5%相当のリターンを投資戦略で生み出すことは理論上不可能です。また、投資信託の保有コストが大きく低下している近年の状況では、コスト削減でこの差を埋めることもできません。

つまり、1,800万円という限られたNISA生涯枠をいかに有効活用するかが、日本の個人投資家にとって非常に重要になりました。
2024年に新しくなったNISA制度には、次の特徴があります。

- 1,800万円までの非課税保有
- 無期限の非課税保有期間
- 簿価に基づく保有限度額の管理(簿価残高方式)
- 売却にともなう翌年の簿価の復活

sustenが着目したのは、「非課税保有額が簿価で管理される」点と、「売却すると翌年に簿価分の枠が復活する」点です。一度使った非課税枠をリサイクルできるこの仕組みは画期的です。

この2つを組み合わせることで、枠をリサイクルしながら実質的に非課税保有額の上限を拡大できる取引が可能になります。この技術をsustenでは「節枠取引」と呼んでいます。

節枠取引の仕組み

節枠の仕組みは単純です。投資実行中に評価額が下落して含み損が発生した際、即座に売却と購入を行います。含み損の状態で売却するため、翌年には売却額よりも大きな簿価分の非課税枠が復活します。

具体例で説明します。100万円で購入した投資信託があるとします。非課税保有残高は簿価で管理されるため、100万円です。

この投資信託が一時的に80万円に下落したとします。20万円の含み損が発生しますが、NISAの保有残高は100万円のままです。

ここで、この投資信託を80万円で売却し、すぐに買い直します。すると、一時的にNISAの保有残高は180万円(時価80万円)となりますが、翌年1月1日には売却時の簿価が復活するため、保有残高は80万円に圧縮されます。

元々NISA口座で100万円を投資していたため、残りの枠は1,700万円でした。しかし節枠取引の実行後は簿価残高が80万円となり、残りの枠は1,720万円に増えます。つまり、実質的に20万円の枠を拡大したのと同じ効果が得られます。

取引実行時に考慮すべきことと自動NISAの動作

SUSTENの自動NISAでは、システムが節枠取引を自動で実行します。

この際の重要な考慮点は、NISA口座に再投資の余力があるかどうかです。即時の再投資には成長投資枠を使うため、1回の節枠取引で売却できる金額の上限は240万円です。当年の成長投資枠をすでに使い切っている場合は、余力の範囲内で節枠取引を実行します。

また、積立投資による枠の消費予定も管理が必要です。節枠取引は将来の非課税口座の余力を増やせる魅力的な手法ですが、通常は非課税口座への追加入金を優先すべきです。積立投資で非課税口座への追加入金を計画している場合、SUSTENではその金額分を節枠取引の売却金額から差し引きます。

自動NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠それぞれの中で、保有投資信託ごとに節枠取引を判断します。たとえば2種類の投資信託をつみたて投資枠と成長投資枠の中でそれぞれ保有している場合、「2投信 x 2枠」の4つの独立した簿価残高と時価を管理し、4つの独立した判断で節枠取引の実行を決定します。

節枠取引を実行する含み損の閾値は、各投資信託ごとに最適化されています。投資信託の値動きの大きさに応じて最適値を計算し、値動きが大きい投資信託ほど閾値を高く設定する仕組みです。

なおsustenでは、節枠取引の動作条件についても継続的に研究を進めています。

たとえば、同一年内における時間の価値(1月と12月では閾値の最適解が異なる)や、金融市場の時系列変動の影響なども検討しています。今後もNISA口座の最適化技術を継続的に進化させていく方針です。

シミュレーション

自動NISAにおける節枠取引の効果について、モンテカルロ・シミュレーション(1,000回のランダム・シミュレーション)を実施した結果を次に掲載します。
シミュレーション 1|基準

平均161万円の効果

  • 投資期間:30年
  • 初回投資金額:80万円
  • 積立設定金額:3万円
  • 利用リスクレベル:5
シミュレーション 2|投資金額増

平均266万円の効果

  • 投資期間:30年
  • 初回投資金額:300万円
  • 積立投資金額:8万円
  • 利用リスクレベル:5
シミュレーション 2|積極性増

平均249万円の効果

  • 投資期間:30年
  • 初回投資金額:80万円
  • 積立設定金額:3万円
  • 利用リスクレベル:7
シミュレーション 4|投資期間減

59万円の効果

  • 投資期間:10年
  • 初回投資金額:80万円
  • 積立投資金額:3万円
  • 利用リスクレベル:5
2025年5月時点の設定およびポートフォリオの想定に基づくシミュレーション値です。節枠機能の動作に関する前提値は、予告なく変更される場合があります。
実際の運用においては、経済や市場状況等により、上記に示された結果と同じ運用ができるとはかぎりません。
実験結果からわかるのが、次の特徴です。少しむずかしく言えば、節枠取引は資産運用の持つ不確実性そのものを非課税枠拡大の機会へと変換していることになります。不確実性に触れる量(金額、時間、幅)を大きくすると、期待される節枠効果も高くなります。
  • より投資金額が大きいほど効果が大きい
  • より値動きの大きいポートフォリオほど効果が大きい
  • より長期の投資期間ほど効果が大きい
  • 積立投資を実施するほど、節枠の機会が増える
自動NISAの節枠機能は、NISA1,800万円の枠を使い切ってしまった後でも、その機会をうかがい続けます。年末に近いタイミングで含み損が生じている際、翌年の枠の復活を見込んで節枠取引が走らせられるように管理しています。

まとめ

自動NISA内で自動的に行われる節枠取引は、制度の仕様を活用し、NISAの生涯投資可能額を実質的に増やす技術です。非課税保有額が簿価で管理されること、そして枠のリサイクルが可能なルールを利用して最適化を実施します。1,800万円という上限の中で、実質的により多くの投資を実現できるよう機能を開発しています。

含み損は一時的なものと想定されますが、資産運用ではよくネガティブにとらえられがちです。中には含み損が発生したタイミングで運用を止めてしまう方もいらっしゃいます(歴史的に見れば、その判断のほとんどは誤りとなります)。

しかし節枠取引を活用すれば、含み損が発生しても将来の非課税口座余力に転換できます。そう考えることで、ネガティブな感情も少し和らぐかもしれません。結果的に、より長く快適に時間を味方につける投資を実践できると考えています。

付録

節枠取引は「損切り(投資方針の変更に伴う資産の売却)」や「損出し(損益通算を目的とした利益のネッティング)」と似ているように見えるかもしれませんが、そのどちらとも異なるコンセプトです。
  • 「損切り」では、含み損を確定した後に同じ投資を再開しません。投資方針の変更を伴い、含み損のA証券を売却してB証券に乗り換える、または投資を止めてしまうことを指します。一方、節枠取引では同じ証券への再投資も合理的であるため、損切りとは考え方が異なります。
  • 「損出し」は課税口座特有の損益通算の仕組みを利用する点、そして単独の投資信託では機能しない点が節枠取引と異なります。節枠取引の目的は将来の非課税保有上限額を拡大することであり、当年の税コストを圧縮するものではありません。また、非課税口座内で単独の証券を保有している場合でも、含み損を認識することで機能します。